転勤妻プージャの日記

夫は転勤族。子ども3人を育てながら東へ西へ引越しをしていく様子を綴ります。

南米でも新型コロナウィルス感染者増加中。現在のブラジルの状況を伝えます。

前回記事を書いたのは15日前です。
(時差の関係で15~16日前になっています)
www.pooja-tenkinduma.work

この時点では、WHOは新型コロナウイルスはまだパンデミック状態ではないと宣言していたし、東アジアに感染者が増加しているものの、ここまで全世界に広がるとは思っていませんでした。
ブラジル在住の私の周りでも、「一時帰国はできないけれど、ブラジルにいたほうが安全かもね?」と、話していたくらいです。
ちなみに、現在ブラジルの季節は夏。
気温が高いブラジルでは、新型コロナウイルスは広がらないという意見もありました。
暖かくなれば収まると考えている北半球在住の方には申し訳ありませんが、新型コロナウイルスは気温が高くても弱まらないようです。
すべての予想を裏切って、この2週間あまりでブラジルでも感染者が日増しに増えています。

そんな、この15日間にブラジルで起きたことや現在の状況をお伝えしたいと思います。

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ブラジルでの新型コロナウィルス感染者の状況

ブラジルでは1月下旬頃から新型コロナウィルスに対する警戒が始まっていました。
ただし、この当時は新型コロナウイルスは中国の病気というイメージがあり、「暑いブラジルなら大丈夫!」という感覚の方が多かったような気がします。

ブラジルで初めて新型コロナウイルスの感染者が出たのは、カーニバル明けの2月26日。
イタリアから帰国した男性でした。
《コロナウイルス》ブラジル初の感染者確認される=サンパウロ市在61歳イタリア帰り=入院前に家族30人と会う=症状は軽く自宅療養措置(ニッケイ新聞) - Yahoo!ニュース

その後3月5日には、14日以内に新型コロナウィルスの国内感染がある国に滞在していた人で、咳や発熱などの症状がある場合には、感染疑いということで、新型コロナウィルスの検査を受けさせることを政府は決定しました。

この時点では、私が子どもを小児科に連れて行ったときに、「今気をつけるべきはイタリア帰りの人との接触。日本人なら大丈夫!」と、主治医から言われていたのですが、この数日後に事態は変わります。
伊藤忠駐在員がコロナ感染 日本に一時滞在、帰任後判明(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

日本人駐在員で初めて感染が確認されたのです。
その後、インターナショナルスクール関係者に感染者が出たり、社内に感染疑いで結果待ちの方が出始めたりで、日本人家庭のなかにも休校や在宅勤務になる家族が出てきました。

また、ボアソナロ大統領に同行して訪米していた政府高官が新型コロナウイルスに感染していることがわかり、一時大統領にも感染疑惑がありました。
(このブラジル政府高官が会談の際、アメリカのトランプ大統領のすぐ横にいたことで、トランプ大統領も新型コロナウィルスの検査を受けることになりました)
ブラジル大統領、新型コロナ陰性(時事通信) - Yahoo!ニュース

そして、3月17日現在ブラジル国内の感染確定人数は234名になりました。
感染疑い人数は約2,000名。
恐らく日を追うごとに倍増していきそうです。

新型コロナウィルスによる影響

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現在までの影響

サンパウロ市内で生活するうえで、現在感じている新型コロナウィルスの影響は次の通りです。

  • 公共の施設(図書館・博物館・美術館・文化センターなど)が3月17日から30日間閉鎖
  • 3月23日からサンパウロ市内の公立学校は休校、私立学校は任意だがほとんどの学校が休校
  • アルコール除菌ジェル・マスク・トイレットペーパー・パスタなどが品切れ、もしくは品薄状態

私自身は感じていないけれど、企業ではリモートワーク勤務への切り替えや公共交通機関を使っての通勤を自粛が勧められているそうです。
メトロ通勤が多いサンパウロですが、UBER通勤を推奨している企業もあるとのこと。もちろん、運賃は会社負担だそうです。

今後懸念されること

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このまま新型コロナウイルスが流行したら次の3つのことが起きるだろうと、私は考えています。
あくまで素人の考えですが。

医療現場の混乱

すでに起き始めていることですが、医療現場では混乱が生じています。
「コロナウィルスではないか?」と、心配になった方が続々と病院に詰めかけているようです。
普段から総合病院の待ち時間は長く、救急では診察を受けるまでに2~3時間待ちは普通です。
ブラジル歴の長い友人曰く、「今は6時間くらいは待つのでは?」とのこと。

現在季節は夏のブラジルですが、サンパウロ市内ではインフルエンザが流行っています。
例年インフルエンザは肌寒くなる5月頃から流行するので、今年はコロナとインフルエンザが同時に流行る可能性があります。
そんなときに、病院に行けるのかどうか…。不安が募ります。

確定感染者数に入らない患者の増加

サンパウロ市内は貧富の差が大きい地域です。
路上生活者も多くいるし、家がある人でも保険に入っていない人もいます。
環境の悪い場所で生活している人たちに感染が広がっても、彼らは病院へアクセスできません。
検査を受けていない感染者が増えるのではないかと思います。
そうなれば、街中どこにいても感染のリスクがあると言えるでしょう。

治安の悪化

すでにさまざまな施設が閉鎖されるなかで、仕事を失っている方がいるはずです。
きちんと保障がある方は良いのですが、少ない賃金を得て1日をしのいでいる方もいるでしょう。
もし、仕事と収入を失えば、そういった人たちは犯罪に手を染めるかもしれません。

実は私が最も懸念していることは、治安の悪化です。
今でもスリや空き巣、強盗の被害をよく耳にするサンパウロでの生活。
それでも、子どもを連れて街中を歩くことは可能です。
治安が悪化して強盗などが多発するようになったら、もうここには住めないのではないかと思っています。

新型コロナウィルスに揺れる我が家

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楽しみにしていた一時帰国をキャンセルして、ブラジルで家族5人で過ごそうと思っていた我が家。
これは先ほども書いた通り、「日本に今帰るよりもブラジルに残ったほうが安全だろう」と、考えたからでありました。
日本に帰るということは、その道中で感染する可能性が高い場所(空港や飛行機の中)を通らなければなりません。
それはリスクだろうと思ったのです。

ですが、ブラジル国内で新型コロナウイルスの感染が拡大していくことを考えると、果たしてこのままブラジルに居続けることが安全なのか疑問に思えてきました。
夫の会社では東南アジア駐在のほとんどの家族が帰国しているそうで、「もしブラジルも生活に支障が出るなら、帰国費用は会社が多少負担する」というようなことを言われています。

本来、ブラジルにいたほうが良いと判断した理由の1つに、子どもの学校のことがありました。
「今帰国したらブラジルに戻ってこられなくなる。そうしたら、新学期から学校に通えなくなる」
しかしながら、ほとんどの学校が休校になったサンパウロで、新学期が予定通り始まる保証はありません。
「もっと日本に近い国だったら(少なくとも直行便がある国だったら)帰国したかもしれない」というのが本音です。

まとめ

数週間前までは日本に住んでいる家族や友人を気にしてニュースを眺めている身でしたが、ここ最近であっという間に当事者になった気分です。
ポルトガル語は初心者レベルを脱しないため、信頼できる現地ソースをそのまま理解できないことにもどかしさを感じます。
日本のメディアでは、ブラジルの状況はほとんど報道されていないのが現状です。
領事館からの連絡を見逃さず、なるべく現地のニュースにも触れて、家族全員で生き延びようと思っています。