転勤妻プージャの日記

夫は転勤族。子ども3人を育てながら東へ西へ引越しをしていく様子を綴ります。

子どもにとって何が最良なのか?『追いつめる親』を読んで考えた

日本に帰ってきて1番目か2番目に良かったことは、図書館に通えることです。
本屋さんも好きなのですが、私の住んでいる地域にはさまざまなジャンルを網羅している大きな書店がありません。

高田馬場の芳林堂書店などに行ったら、すごく楽しいんだろうなー。
名前を確かめるために、高田馬場駅をグーグルマップで確認したら、芳林堂書店と同じビルにドン・キホーテが入っていました!

さて、図書館が好きな理由は、まったく知らなかった本を手に取れることです。
今回読んだ本も、何気なく教育系の本棚を眺めていて、手に取った本でした。

おおたとしまささん著の『追いつめる親「あなたのため」は呪いの言葉』です。
私が興味を持ったのは、「『あなたのため』は呪いの言葉」という文章が心に刺さったからでした。

本著で取り上げられている例は、読んでいてつらい気持ちになるものが多かったです。
子どもが友達と遊ぶのを禁止したり、自宅で1日何時間も勉強させたりピアノの練習をさせたり。
そして、テストの点数が悪かったり、ピアノでミスをしたりすると、殴る蹴る暴言を吐くなど…。

こういったことを並べると、「私には関係ない」と感じる方が多いと思います。
私もこのような極端な虐待は、もちろんやったことがありません。
けれども、子どものために良かれと思って親がやっていたことが、子どもにとっては耐え難いものだったということは、小さいことも含めてたくさんあるような気がしました。

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私自身は3人の子どもを持つ親ですが、自分の教育方針に確固たる自信などありません。
どちらかというと、「子どもは伸び伸び育てたい」と考えています。
早期教育などには積極的ではなく、幼稚園もたくさん外遊びできるような園を選びました。
けれども、「長男が小学校3年生になった今も伸び伸び育てているか?」と、問われたら、否です。
「宿題やったの?」とか「ちゃんと学校の準備したの?」とか、本当に毎日何度も言ってしまいます。
子どもを信じて待つということができていないと、本を読んでいて痛感しました。

それから、子どもが外で褒められると、親はすごく嬉しいものです。
けれども、「子どもが褒められたことは自分の手柄ではない」ということを私は常々自分に言い聞かせています。
自分が褒められたいからとか安心したいからという理由で、子どもに価値観を押し付けたくないと考えているからです。
自分と子どもが別々の人間だということを、しっかり頭に叩き込んでおこうと思っています。

そう思っていたはずなのに、子どもに上から目線でものを言いがちだということを、この本を読んで気づきました。
だから、『追いつめる親』を読んで、ちゃんと再確認できて良かったです。

ちなみに、著者によると、「勉強ができるかどうかは本人の器次第」で、「子どもがどのような子に育っても親の責任ではない」だそうです。
親は子どもの邪魔をせず、寄り添うだけで良いとのこと。
そのように、心にとどめておきます。


私は『追いつめる親』を読んでいて、以前に読んだ『秋葉原事件 加藤智大の軌跡』という本を思い出しました。
 

「秋葉原事件」というと、私と同世代の方は鮮明に記憶しているかもしれません。
2008年の6月に秋葉原の歩行者天国で起きた無差別通り魔事件で、7人の方が亡くなり10人の方が重軽傷を負いました。
当時この事件を起こした犯人は、インターネットの掲示板でのトラブルや、派遣社員として働いていた会社での人間関係などの鬱憤を晴らすために事件を起こしたと考えられていました。
たしか、ニュース番組などでも、そういった分析がされていたと思います。

けれども、中島岳志さん著の『秋葉原事件 加藤智大の軌跡』では、犯人の幼少期のことが詳しく触れられています。
母親はとにかく教育熱心で厳しくて、小学生の頃からさまざまな習い事を子どもたちにさせていたこと。
子どもが書いた作文は難癖をつけて、母親が書いたものを清書させたこと(それが学校では評価されて賞を取る)。
母親は怒ると、ベランダから子どもを落とそうとしたり、水の入ったお風呂に子どもの頭を突っ込んだりという虐待をしたいたこと。

つまり、教育虐待状態だったそうです。
だから、「犯人がかわいそう」というつもりはありません。
人を殺すということは、どのような理由があっても絶対にしてはいけないことだから。

けれども、『秋葉原事件』という本を読んだとき、この犯人の母親を反面教師として自分は母親になろうと思ったのです。
この本を読んだとき、長男を出産する直前の臨月だったのですが、とにかく涙が止まらなくなりました。
無事に生まれてくるだけでありがたいという感覚を持ち続けて、子どもを自分の思い通りに操縦しないようにしようと思いました。


「子どもにとって何が最良なのか?」
子どもは無知だから、ある程度親が提示することは必要なのかもしれません。
しかしながら、親が提示するものは親が興味関心を持つものの枠を出ることがないのです。

子どもは幼稚園や学校に通うようになると、外部の世界でさまざまな影響を受けて、自分が好きなものや得意なものを知ることになるでしょう。
我が子も毒のある生き物に関して、私がまったく知らない(覚えられない)名前や特徴をたくさん挙げることができます。

子どもには親の枠を超えて、どんどん大きくなって欲しい。
そういったことを考えさせられた読書の秋でした。