今月は仕事が少なめです。
少し焦りはありますが、無理に仕事量を増やさず購入済みの本を読んだり勉強の時間に充てたりしたいと思います。
さて、先日『ルワンダでタイ料理屋をひらく』を読みました。
こちらは4月の新刊本。実は作者の唐渡千紗さんは私の学生時代の友人なのです。
友人だからというのはではなく、この本を読み終わって周りの方におすすめしたい気持ちが増しています!
海外生活に憧れる方や起業したい方、また子育て中の方と幅広い方の胸に刺さるのではないかと思うからです。
そこで、『ルワンダでタイ料理屋をひらく』の魅力や感想をお伝えしたいと思います。
作者はどんな方なのか?本書のあらすじ
作者の唐渡さんことや本書のあらすじについて少しだけ書きます。
作者はこんな方
作者の唐渡さんは私の大学時代の友人です。
小柄なのにパワーにあふれていて、頭の回転が速いという印象がありました。
英語もペラペラで、とにかくスペック高いという感じ。
冷静に書き連ねると「すごい」の一言なのですが、学生時代は飲み慣れていないお酒を飲んだりダメな恋バナで盛り上がったりと、友人の1人として楽しいお付き合いをしていたはずです。
私は大学卒業後に東京を離れ、それと同時に学生時代の友人たちと連絡を密にとることもなくなってしまったため、大学卒業後の彼女がどのような道を歩んでいたのかは詳しくは知りません。
私は就活がうまくいかなかったため、希望通りの企業で活躍する同級生たちを見たくなかったという心の狭さが連絡を避けた理由の一つでもあります。
彼女は大学卒業後に大手企業に就職。結婚・出産をしたけれど、かなり激務で大変らしい。
そしてその後子どもと2人でルワンダに渡り食堂を始めた!?と、何となくの風の便りで聞いていた程度でした。
なぜルワンダで食堂!!!?しかも、シングルになって子どもと2人で渡航!?と、とにかくビックリした記憶があります。
けれども、唐渡さんはものすごくバイタリティのある人物だと思っていたので、はた目からは突飛な気がするけれど、きっと何か明確な目的があるのだろうと考えていました。
本書のあらすじ
本書は、大手企業に勤めていたシングルマザーが会社を辞めて、ルワンダでタイ料理屋さんをひらいたというお話です。
会社のリフレッシュ休暇制度を使ってルワンダにいる友人のところを訪ね、そこで「ここで暮らそう」と決めたとのこと。
これぞ一念発起、すごい決断力です!
当時5歳の息子さんを連れてルワンダに旅立つところからスタートします。
ルワンダ到着後からお店の工事、オープンに至るまで、とにかくさまざまな問題が出てきて、それをどんどん解決していく……。
ロールプレイングゲームのような感じで、物語が進んでいきます。
出てくるさまざまな問題のなかに、ルワンダという国の歴史や気質みたいなものが見え隠れします。
なかなか行く機会のないルワンダを知ったり、そのなかで奮闘する30代の女性の生き方が見えたりというのが、本書の魅力だと思われます。
ルワンダとはどのような国?
ルワンダと聞いて「アフリカの国」や「大量虐殺があった場所」などと、何となく知っている方もいるでしょう。
私も「ホテル・ルワンダ」や「ルワンダの涙」という映画のタイトルが思い浮かび、その悲しい歴史について少しだけイメージを持っているだけです。
『ルワンダでタイ料理屋をひらく』にはルワンダのジェノサイドについても言及があります。
再度この2つの映画は観たくなりました(以前はつらすぎて、最後まで観られなかったのです)
ルワンダの正式名称は、ルワンダ共和国。
コンゴやタンザニアに囲まれた東アフリカの内陸国です。
昔からこの地域にはツチ族とフツ族という2つの民族が暮らしていました。
放畜民であるツチ族の王が農耕民のフツ族を支配して、ルワンダ王国を築いていたのです。
19世紀にドイツ、ベルギーなどヨーロッパ諸国の植民地になったルワンダ。
1962年に独立したものの、経済的にはボロボロ。
独立後約20年間かけて著しい経済成長を見せたものの、1980年代後半には主要産業であるコーヒーの価格が暴落したことなどにより貧富の差が拡大してしまいます。
フツ族至上主義を掲げる動きもあり、情勢は悪化していきます。
そんななか、1994年にフツ族の大統領が暗殺されたことをきっかけに民衆が暴徒化。
フツ族と政府によるツチ族・穏健派のフツ族への虐殺が横行していきます。
約100日間に虐殺された人は80万~100万人。ルワンダの人口の1割以上の方が犠牲になったのです。
ジェノサイドは27年前に起きているので、現在30代の方は虐殺を目の当たりにしているのですね……。
現在はアフリカのなかで治安はよく、ICT産業や観光業に力を入れて経済発展中だそうです。
私の個人的な感想
同級生、しかも同じ子育て中のママなので、読んでいてとにかく「すごいね、頑張ったね」という気持ちになりました。
ハプニング続きなので、「次は何が起きる?」というのが気になってどんどんページをめくっていけます。
ままならないことだらけの海外生活。
いつまで経っても来ない工事業者・嫌なニオイとハエにまみれて買う食肉・大雨に停まる電気水道人などなど……。
私が11年前に初めて帯同したインドの風景に似ていて、懐かしいけれど胸の奥がヒリヒリする感覚になりました。
しかも、唐渡さんはそんななかで稼がないといけないのだから、私とはまったく違うプレッシャーとの闘いもあったはず。
「本当によく頑張ったね」という気持ちが大きいです。
次々起きるハプニングの間に挟まれる、作者の語りや周りの人たちの会話に胸を打たれることが多々ありました。
最初は「大丈夫なの?」と思えるほど日本の常識からしたら理解不能な従業員たち。
でも、口酸っぱく言い聞かせ、納得してもらい、できる自信を本人が持つことで、どんどん働き方が変わってくる。
そして、今まで話せなかった自分の過去を打ち明けられるようになる。
「人を育てるってこういうことなんだ!」と、わかった気がしました。
私が個人的に響いたのは、「おわりに」にあったこちらの文章です。
私の良さってなんだろう、私らしさってなんだろう。と、突っ立って考えていても、何も見えてこない。一歩踏み出して歩き出し、つまずいたり迷ったりしながらもがいた軌跡から、それはきっと見えてくる。道は後ろにできるのだ。
ありがとう!私も前を向いて歩き続ける!!
まとめ
『ルワンダでタイ料理屋をひらく』のあらすじや感想を書かせていただきました。
シングルマザーがルワンダで起業すると聞くと、すごく強かったり少し変わっていたりする人なのでは?と、思われる方も多いでしょう。
けれども、本書を読むと、とにかく作者が努力を重ねた結果なのだと気づかされます。
自分の得意の不得意も、とにかくやってみなければわからない。
そう思って、前を向いて歩く勇気をもらえる本です!